「自治体の人手不足」解決提案として山梨県富士川町にて「AI案内ロボット」導入
400以上の地方自治体と連携し、自治体の課題を支援する非営利組織「一般社団法人公民連携推進機構」(代表理事:高瀬亜富、以下「当機構」)は、当機構会員自治体である山梨県富士川町(町長:望月利樹)からの相談を受け様々な課題解決支援を行っている中で、「庁舎内案内ロボット」の活用について、同じく当機構会員企業の株式会社DFA Robotics(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:松林大悟、以下「DFA 」)に依頼し、自走型AI案内ロボット「Timo(ティモ)」による来庁者案内実証実験を実装いたしました。
地方自治体の財政懸念の社会状況の中、実証実験では今後多くの自治体のへの導入に先駆けて、DFAが取り扱う「Timo(ティモ)」が、職員の代わりに窓口案内業務を担当いたします。なお、本実証実験に関わる費用はDFAが負担しております。
少子高齢化を迎える中、このような「人にやさしいロボット」の導入は、自治体支出の負担軽減にも繋がることから、多くの自治体において需要があると当機構では考えております。
【一般社団法人公民連携推進機構・山梨県富士川町・DFA Roboticsの連携について】
公民連携推進機構は420以上の自治体と100以上の企業と連携し、地方自治体との「公民連携」事業を推進する非営利法人。
山梨県富士川町は当機構の特別顧問の内田孝氏(山梨県人会連合会副会長)の出身地でもあることから、当機構と望月町長とは「富士川町の抱える課題」について常に意見交換を行ってきました。
今回の取り組みは「人口戦略会議」の発表にもあるように全国1741の市区町村のうち半数が消滅の危機であり、山梨県富士川町も「消滅可能性自治体」として掲載されております。自治体存続に対して自治体のDX化を促進することは重要であり、自治体職員の業務量増加を抑え、自治体職員の負担減少をすることが目的となります。
今後の自治体運営は、少子高齢化に伴い、人口減少における税収減少・人材不足によってインフラや公共サービスの提供が困難になり、自治体の存続自体が難しい状況になり得ます。
更に社会的環境変化に対してアナログでの業務を続けていけば、業務量が増え続けることが予測されます。そこでDX化を推進することで効率的な業務体制の構築・職員の業務量増加の抑制が必須であります。
そのような背景から当機構会員企業より富士川町に対して約1500万円の「企業版ふるさと納税」を行い、DFA による「Timo」の導入の他、「富士川町役場全職員DX研修」の実施をしております。
今回の取り組みは、多くの自治体にとって同様な課題解決に寄与できると考え、実証実験のエビデンスを元に地方自治体の導入ハードルを下げ、多くの自治体での導入が実現するように、当機構では今後「内閣府・総務省」をはじめとする国の各省庁への働きかけを行って参ります。
【実証実験の概要】
富士川町役場では総合窓口を設けておらず、入り口に最も近い会計課が日々窓口対応に追われていました。富士川町の人口は1.4万人(2024年6月1日時点)で、1日あたりの平均来庁者は80〜100名程、そのうち窓口に来られる方は30〜50名程です。
平均10分の間に1人の窓口対応が必要になりますが、職員に窓口案内業務だけを任せるには業務量が少なく生産性が低いため、富士川町役場は新庁舎の開設時に窓口を撤廃しました。しかし、他業務を担当している課が案内業務も並行して対応することで、通常の業務効率が落ちてしまっておりました。
このような課題や、地域の抱える問題点など様々な分野で、富士川町望月町長から、当機構に対して相談いただいており、まず初めに公民連携推進機構の会員であるDFAの自走型AIロボットを活用する実証実験に至りました。
当機構では、今後も最先端デジタル教育の実施や、企業版ふるさと納税を活用し、日本一奇麗に見られると言われ毎年お正月特番で生中継される「ダイヤモンド富士」の鑑賞スポットの増設など、今後も公民連携推進機構は富士川町に様々な支援をして参ります。
◾️実証実験の概要
目的 | 役場内の人手不足対策、生産性向上 |
施設名 | 富士川町役場 |
住所 | 〒400-0503 山梨県南巨摩郡富士川町天神中條1134 |
機体・台数 | 自走型AI案内ロボット「Timo(ティモ)」1台 |
導入エリア | 庁舎入口付近 |
実証期間 | 2024年6月3日(月)〜2024年6月21日(金) ※終了日は予告なく変更する可能性がございます。 |
実証実験の動画はこちら
https://youtu.be/7kXlah3zD6Y
「Timo(ティモ)」は庁舎の入り口付近に設置。ディスプレイ上部には各課のボタンが表示されていて、ボタンを押すことで案内が可能です。「Timo(ティモ)」に話しかけると、音声で回答し、ディスプレイ下部の吹き出し部分にも回答が表示される仕様です。人を介さずロボットが窓口案内業務を代替するためには“会話機能”が重要です。そこで、実際の来庁者と職員さまの会話のやりとりを調査し、1,800単語以上をロボットに学習させることで、ディスプレイ上での表示のない来庁者の細かい要望に対しても案内が可能となりました。
富士川町役場政策秘書課 土橋 学さまのコメント
令和5年1月に新庁舎へ業務が移転し、どこに何の窓口があるか来庁者の方々に新しく覚えていただく必要がある中で、当初、職員が当番で案内係を務めておりましたが、職員一人をずっと配置しておく業務量ではなく、一定期間で職員による当番は終了しました。しかし、その後も来庁者の方から窓口の場所について尋ねられることが一日に何度もある状況が続いていました。
そこでご紹介いただいたのがTimoで、どこに何の窓口があるか知りたい来庁者のニーズに応えてくれています。職員側でTimoに対して難しい操作や注意が必要なところはなく、スムーズに運用することができています。
今のところは想定通りに動作しており、先進的な実証実験ができたことに町としても非常に喜ばしい限りです。今後は案内機能の応答バリエーションの改善なども取り組んでいただけるとのことで、さらなる効果に期待しています。
自走型AI案内ロボット「Timo」について
DFA Roboticsが取り扱う自走型AI案内ロボット「Timo(ティモ)」は、キーワードを学習させることで、音声認識による目的地案内が可能なロボットです。ナビゲーションにLiDARとカメラを用い、周囲のものを読み取ることで人や障害物を避けて自動走行します。
これまで自治体等で実証実験に使用されたロボットの多くは、利用者がロボットのディスプレイから目的地を選択し、ロボットは指定の場所まで走行する機能に留まっており、利用者が用件に対応する課がわからない場合は職員に聞いてしまうため案内機能は限定されていました。
「Timo(ティモ)」はAIを搭載しているため、利用者が「マイナンバーカードを受け取りたい」など用件を伝えることで、対応窓口を音声で示し、目的地まで走行して案内が可能となります。
実証実験にあたり、DFA Roboticsは事前に富士川町役場にて来庁者調査を行い、実際の来庁者の問い合わせ内容に対応するよう、会話機能をカスタマイズしました。
来庁者の目的地がわからない場合にも、ロボットが完全に窓口案内業務を代替することで、役場の省人化・業務工数の削減に寄与します。
当機構に関する自治体様・民間企業様からのご質問・お問い合わせは下記からお願いいたします。
https://cclg.or.jp/#contact